QRコード決済の普及によって現金が紙幣から電子マネーに置き換えられつつあり、世界中の中央銀行(日本では日本銀行)がこの流れを後押しすることで、世界中で紙幣が電子マネーに変わろうとしている。
財務省にとっても、これまで紙幣だと資金流通をトレーサビリティーできなかったのが、電子マネーだとビッグデータが発行企業や銀行に残ることから、資金のながれをより正確に把握して分析できること、それに応じた政策が出せること、また歳入となる課税及び徴収ができる点もあり、紙幣に変えて電子マネーを推する要因になっていると考えられる。
さて、日本における電子マネーの発行者はSuicaを運営するJR東日本であったり、PayPayを運営するソフトバンクであったり、楽天Payを運営する楽天であったりする。
電子マネーの発行と言っても、紙幣のように個別に流通してしまうモノではなく、特定のプラットフォームで使用できるポイントと言っても良い電子記録を、その発行企業が法定通貨である紙幣本位制で保証し、流通させることで成り立つ民間の通貨になり、このプラットフォームを単独で使用するか、多くの企業が共有するかで流通性に違いが生まれる。
交通系電子マネーの場合、Suicaのプラットフォームを利用する仕組みでハウス電子マネーの形態で全国の交通系電子マネーブランドがプラットフォームを共有し運営する仕組みで、流通すればするほど、ハウスブランドの発行企業には利用者の日々の決済情報のビッグデータが蓄積され、JR東日本には全てのハウスブランドのビッグデータが集まることになる。
この場合のビッグデータには決済した場所、時間、金額、対象サービス、個人情報が記録されるので、この特定の個人が、どこでどんな生活をしているのかが記録されている。
ここにAI機能が追加されると、この特定の個人の未来予測が可能になるので、ビッグデータを利用する企業が、この特定の個人に先回りしてサービスを提供することができるようになる。
もちろんたった一人の為に先回りしてまでサービスを提供する企業はいないが、春は花見に、夏は海水浴に、秋は紅葉狩りに、冬はスキーになど、季節感であったり、流行であったりのように、ある程度はみんなと同じことをするので、その流れが大きなところで先回りしてサービスを提供する企業がこのビッグデータを利用することで大きな収益を上げることができるようになる。
だからこそ、電子マネーを発行する大手企業は、その電子マネーの流通性を高めるために、莫大な資金を投じてキャンペーンを行ったり、競合企業を買収するながれを産んでいる。