― オシラセを活用した地域政策のアップデート ―
これまで民間取引にとどまっていたオシラセの機能を、行政や自治体が積極的に活用するシナリオについて整理します。
福祉、就労支援、地域通貨、契約管理など、地方自治体の現場での応用可能性は非常に高く、オシラセは「行政の現代化」において重要な役割を果たせるプラットフォームです。
1. 行政が“信用の再構築”を担う時代
かつて行政は、信用を「与える側」でした(例:生活保護、住宅補助、補助金など)。
しかし、信用が崩れた住民を「再び信用ある状態へと戻す」機能は持ち合わせていませんでした。
オシラセが提供するのは、住民が「信用を積み上げる」プロセスを見える化し、サポートできる仕組みです。
たとえば:
- 生活困窮者が、週1回の地域作業に参加し、簡易契約を交わす
- 高齢者が中古品を出品し、売買実績を通じて電子的な信用履歴を得る
- 就労支援で数回のアルバイト契約を経て、本人の責任履行を記録化する
これらはすべて**“取引としてのリハビリ”**であり、行政が契約相手や仲介者として関与できる領域です。
2. 電子契約管理と補助金支出の透明化
自治体業務では、NPOや地域事業者との委託・補助契約が日常的に発生します。
しかし、書類管理や進捗把握は今もアナログなまま、煩雑さとブラックボックス化を招いています。
ここにオシラセの電子契約・通知機能を導入すれば:
- 契約発行・締結・通知・履行記録がスマホで一括完了
- すべての契約がタイムスタンプ付きで記録され、改ざん不可
- 複数部署・複数団体の契約状況を横断的に可視化できる
これにより、事後報告ベースの“補助金ばらまき型行政”から、“取引実績に応じた支出型行政”へと移行可能になります。
3. 地域通貨・地域ポイントとの連携
オシラセには直接、決済や通貨機能はありません。
しかし「信用が蓄積されると、別の経済圏にアクセスできる」という構造があるため、自治体が発行する地域ポイント制度と連携することで相互補完が可能です。
たとえば:
- オシラセ上で10回の契約履行 → 地域ポイント200pt付与
- 地域ポイントが貯まると、図書館・公共交通割引などの地域特典に交換可能
- 地域ポイント導入の実績データが、地域の“参加率”や“信頼水準”のKPIになる
これは、ポイントをばらまくのではなく、“信頼される人”に還元するモデルを自治体が構築できることを意味します。
4. 公的信用への“入口”としての機能
行政が最終的に目指すべきは、住民の「信用回復」が次のステージ(住民票登録、保険加入、雇用契約)につながることです。
オシラセはそのための**“第一歩としての信用履歴”**を提供することで、住民の行政サービス再接続を支援できます。
結論:オシラセは“行政のプロトタイプエンジン”である
自治体がいきなり高度な信用スコアや電子行政を導入するのは難しい。
しかし、オシラセのようなカジュアルで安全な取引環境を用いることで、小さく始めて徐々に信用経済を公共セクターに溶け込ませることができます。
- 「契約・通知・評価・履歴」がすべてスマホで完結する
- 金融ではなく“社会的信用のインフラ”として設計されている
- コストは最小、導入も軽量、人的負荷も低い
この仕組みを活用することこそが、**これからの自治体が果たすべき「社会的信用再構築の役割」**を実現する一歩なのかもしれません。