1. 従来の信用スコアは、排除の道具だった
従来のクレジットスコアや金融信用スコアは、「既に信用がある人」を選別し、既に銀行の客である人を優遇するために使われてきました。
逆に言えば、過去に一度でも失敗した人や、信用履歴がない人にとっては、スコアとは**“排除の記号”**でしかなかったのです。
2. オシラセが示す“信用の記録”は、別の意味を持つ
オシラセで記録されるのは、こうした“金融履歴”ではなく、もっと日常的なものです:
- ゴミ出しを頼まれてきちんと行った
- 高齢者の見守り契約を履行した
- 自治体のアルバイトを途中で投げ出さなかった
- 時間どおりに来て、契約通りに行動した
こうした小さな履歴が積み重なることで、**「責任を果たせる人」「信用に足る人」**という記録が残っていきます。
これは単なるスコアではなく、「信用の兆しの証明」なのです。
3. 地域における“協同信用”モデルの設計
信用は、個人が勝手に積むものではありません。
特に、社会的に弱い立場にある人が信用を得るには、他者との協同作業や信頼の中で育まれる場が必要です。
そこで、次のような“地域信用モデル”が提案できます:
■ 協同信用スキーム
機能 | 担い手 | 内容 |
---|---|---|
契約と履行 | 本人+支援者 | オシラセ上で記録 |
信用保証 | 地域NPO | 契約のフォロー・実績認定 |
信用評価 | コミュニティ委員会 | 複数団体による客観的評価 |
金融接続 | 信用金庫等 | 実績に応じた金融商品への接続 |
このような枠組みであれば、一人ひとりの努力を無駄にせず、段階的に社会復帰への“足場”が築けるのです。
4. “地域スコア”は「順位付け」ではなく「証明書」
大切なのは、「点数で線引きする」のではなく、「履歴があることを証明する」という使い方です。
- この人は10回の契約をすべて履行した
- 他者からの評価コメントが20件ある
- 自治体の短期業務に3回連続で参加した
このような**“行動に基づく履歴の証明”をスコアとして活用するなら、それは差別的な線引きではなく、信用への入場券**になります。
5. デジタル排除にならない設計へ
スコアや履歴の可視化がデジタルで行われると、「スマホを使えない人は置き去りになる」という問題があります。
だからこそ:
- 登録や記録の補助を福祉団体や支援者が担う
- 評価の読み上げ・代筆などを地域で支援
- スマホ不要の対面評価機能(QR等)の活用
といった**“アナログ支援によるデジタル信用の補完”**が極めて重要です。
結論:信用を地域に取り戻すためのプロトコル設計を
銀行や国のスコアではなく、地域内で認め合う「履歴」「行動」「責任の遂行記録」。
それをデジタル上に安全に積み重ねていくプロトコルが、オシラセを軸に形成されつつあります。
これこそが、かつての信用組合が担っていた“相互信用の文化”の再興であり、現代の技術による人間らしい信用の再定義なのです。