1. Google広告などが“金融”を選別する理由
Googleなどのプラットフォーマーが提供する広告では、
「金融サービス」は広告単価が高いカテゴリであると同時に、
広告掲載の審査が厳しい、もしくは制限される分野でもあります。
それは以下のような背景からです:
- 詐欺・投資詐欺などの被害が多く、社会的影響が大きい
- 信用リスクに関する情報の透明性をGoogleが担保できない
- 金融広告に対するレギュレーションが世界的に厳しくなっている
このため、金融サービス=“危うさ”を含むものという社会的認識が、ITプラットフォームにも強く反映されています。
2. 社会が欲しているのは「絶対に損をしない」銀行
Googleが金融広告を警戒する一方で、
人々が求めている金融サービスはきわめて保守的です。
- 絶対に損をしない
- 返ってこないことはない
- リスクを誰かが100%肩代わりしてくれる
これはかつての“銀行神話”そのものです。
バブル崩壊以前の「銀行に預けておけば安心」「誰でも借りられるし、銀行は潰れない」――この幻想が、
現代に至ってもなお、政策・広告・サービス設計の根底に生き残っているのです。
3. ITプラットフォームも“金融神話”を支えてしまっている
GoogleやMeta、Amazonなどの広告システムは、
「リスクがない」とされるサービスに高い信頼スコアを与え、広告流通を優遇します。
一方、オシラセのように:
- リスクはゼロではないが、社会的意義がある
- 実利用の中で“信用”を回復させていくプロセスがある
- 金融弱者や履歴に傷のある人を対象にする
このようなサービスは、広告ネットワークの中では“マイナー”な位置づけとなり、
認知を広げにくく、社会実装が遅れる要因になります。
4. 求められるのは、「絶対に損をしない」以外の金融設計
本来、金融とは:
- リスクと信用を取引すること
- 損失の可能性を許容しながら社会を回す仕組み
- 行動履歴によって再評価のチャンスがある構造
であるべきです。
しかし今の金融とITの連携は、「損しない」人だけを顧客にし、
「損するかもしれない」人をシステムの外に追いやる構図を形成しています。
5. オシラセが提案する“リスク共有型の金融支援モデル”
オシラセの仕組みでは:
- 支援団体や自治体が利用料を負担
- 利用者の支払い履歴を通じて信用を可視化
- デフォルト率を前提とした「全体の仕組み」で回す
という“リスクを排除しない”構造で運用されています。
しかも、広告に依存せず、参加者全体で支えるモデルを築いています。
これは、もはや金融ですらないとも言える形ですが、
まさにそれが、次の信用インフラの土台になるのではないでしょうか。
6. 結論:「広告が支える信用経済」から「支援が生む信用経済」へ
いま、広告・IT・金融は一体化し、「損しない人にだけ利益が集まる設計」を加速させています。
しかしこれを「公共的信用再生の仕組み」に変えるには:
- 金融リテラシーだけでなく、“信用の社会的回復”という観点を持つこと
- オシラセのような仕組みを、政策として支援する体制に切り替えること
- 信用履歴の空白を“再出発のチャンス”と捉える社会意識を育むこと
が必要です。
それは、従来の「信用の担保」が資産や職歴に偏っていた社会から、
「信用の育成」に焦点を当てる社会への転換に他なりません。