マネーサービスを立ち上げるには、先ずは運用する資本金が必要だが、近い将来に投資を受け入れるのであれば基本的なビジネスモデルを示すことができる程の資本額が用意できれば良い。
例えば少額短期の資金調達サービスであると、お客様に提供する単価平均が10万円、貸出から回収までのサイト平均が1か月、月に300件ほどの成約の場合だと、1日平均10件の成約だから運営は1人でできる。仮に年中無休で運営するとしても2人でスタートアップできることになる。
先ず開業にかかる費用についてはコロナ世代の事業であるから形態はオンライン事業だとすると、事業所に来客はないので自宅の一室か、バーチャルオフィスでも良いので月額3万円程度で計画する。
やろうとしているマネーサービスによっては監督官庁への届出が必要になるし、供託金の用意が必要になり、ファクタリングのようにどちらにも該当しなければ費用や資金はかからない。
お客様とのポータルサイトは、自社のプラットフォームとして構築するか、他社のプラットフォームを利用するかになる。
広告の手法を選択するにあたりターゲット層のお客様がどのように自社広告に触れ、ポータルサイトにアクセスしてくるのか、個々の調査または見込みとしてのマーケティングが先ず必要である。
オンライン事業だと日本人の多くがインターネットで検索してバーチャル空間に掲載している自社広告に触れるように設定する。
お客様が利用する端末がiPhoneだとバーチャル空間に掲載している自社広告に触れる結果を生み出す、最初のステップであるネット検索に使うSafariのデフォルト検索エンジンはGoogleになるが、そのGoogleは年間150億ドルを投じてiPhoneのデフォルト検索エンジンのポジションを購入している程で、この機能はオンライン事業における重要なプラットフォームになっている。Googleはその投資の結果、日本の検索エンジンシェアは76%(令和4年)で、2位の Yahooが16%だが、YahooはバックエンジンとしてGoogleを使っているので実質はGoogleが92%のシェアを持っていることになる。このことから、ターゲット層がインターネット検索によるのであれば当然ながらGoogle広告でビジネスモデルを構築することになる。
Google広告でターゲットと接点を持ち、自社ポータルサイトに誘導して商談に入るためには、自社ポータルサイトにチャット機能をつけるか、顧客ターゲットが10代から60代であればシェア83%(令和5年)のLINEなどのSNSにビジネス用のアカウントを開設して再度誘導することが画期的である。
次はチャットによってターゲット層のお客様とのオンライン商談が成立し、クロージングに向け電子契約を締結するための、リーガルチェック済み契約書式のフォーマットと提供する入力インターフェースの設置を行うことになる。
後は送金機能として取引銀行のモバイルバンキングサービスを利用するための専用端末の準備になり、各種通信端末のキャリアとの契約を終えるとスタートアップの準備は完了する。
見込みの運用資金は3,000万円、システム構築費はピンキリだが、自社で構築するなら最低でも300万円程はかかるし、軌道に乗るまでの6か月分の運転資金含めて概ね4,000万円程は必要になる。
ここからが重要だが、マネーサービスのプライシングにポテンシャルがあるかどうかをアセスメントし、全取引のデータベース化を構築する。このデータベースのクオリティが高ければ高いほど投資も集まりやすく、デフォルトリスクが下がると手数料も安くなるので、お客様の利用も増えていくのだが
資金が準備できれば、簡単に進んでいくかというと、意外とそうでもなく、Google広告の場合1週間おきに運用中のキャンペーンデータを伝えてくれるが大体、Googleのバーチャル空間に掲示している自社広告を毎週約10万人が見ているとすると、自社ポータルサイトに誘導できるのはその内の約1,000人で、チャットを試みるお客様はその内の約100人に下がる。そして正式に申し込んで来るお客様はその内の約10人で、さらにその内で成約できるのはたったの1人か2人である。
ただ継続は力なりというように自社ブランドに認知度がついて来ると成約までの篩にかかる率が向上するので、結局は運営する人に試行錯誤を繰り返すだけのビジョンとモチベーションがあり、ロイヤリティの高いリピーターが定着するまでがスタートアップになる。