トラック物流における2024年問題・EV化・インボイス制度導入のながれは軽貨物運送事業者にも大きな影響を及ぼす。
福岡県の商用軽貨物車両の登録台数は13,226台(令和5年)であり、福岡県の軽貨物運送事業者の登録数は7,475事業者(令和4年)である。
現場の声は、2024年問題よりインボイス制度の方がより大きな問題になっている。
本来なら軽貨物運送事業者の平均的な売上は約600万円なので、消費税の課税対象事業者ではなかったが、消費税課税対象事業者と取引がある場合には、取引先のインボイス制度の導入によって、軽貨物運送事業者もインボイス制度を導入せざるを得ない。
その上、軽貨物運送事業者の運賃売上の資金化までのサイトは平均約90日であり、事業者あたり概ね150万円の運転資金を確保しておかなければならない。
さらに追い討ちをかけるのが政府が掲げるカーボンニュートラル政策による軽貨物車両のEV化であり、これまでは中古車両で対応して来れた事業者も、EVだと未だ中古車市場が形成されておらず、新車の軽貨物EVへの転換費用は1台あたり平均で約250万円(三菱自動車製)の負担が重くのしかかる。
ここに大手の下請け事業者が多いラストワンマイルを受け持つ軽貨物運送事業者に2024年問題が大きくのしかかって来るのであるが、ラストワンマイル事業者に課せられる再配達の条件は、例えば佐川急便だと、同じ運賃で不在であれば3日間連続で再配達を行うように規定している。
かなりキツイ条件であるが、佐川急便の場合、下請けの軽貨物運送事業者に毎日受注があるように手配するので、単価や再配達条件がタイトであっても事業運営全般では、タイトとも言えない仕組みになっている。
しかしながら、温暖化が続く中で福岡県内の軽貨物運送事業者は毎日汗だくで配送していて、特に夏季になると受取人に配慮して1日3回は着替えるという。
それでいて売上から、15%前後の手配料、車両償却費、車両維持費、燃料費、保険料、車検などを差引くと税引後の純利益は毎月30万円前後であり、近年8割増の交通事故や病気になると収入は一気にゼロになってしまう厳しい事業環境下にある。
そのような状況が続くラストワンマイル物流をテーマに株式会社SHIPPER(本社は福岡市)は軽貨物配車アプリ+(プラス)事業をスタートアップする。
主なサービスは① 再配達ロスを削減保証する運送保険またはフィンテック事業、② 日々の配送完了時に運賃を支払うファクタリング事業、③ 配送距離を縮め配送単価を向上させる共同配送事業などからなる軽貨物運送事業者のDX化を支援するプラットフォーム事業である。
その中でも、資金繰りが難しいラストワンマイル事業者にとって朗報なのは、日々の配送完了時に運賃を支払うファクタリング事業であり、このサービスは宅配物を受取人が受取ると同時に計上されて1日分の配達完了運賃代金を即日で指定銀行口座払込むサービスで、配送伝票のペーパーレス化を実現し、スマホでの受取確認によって受取人は受取時にサインをする必要もなく軽貨物運送事業者も受取伝票などの残務業務から解放される仕組みである。