【第26回】自治体はなぜ“銀行の後追い”をするのか — オシラセが示す“支援のためのリスク許容”の構図

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1. 自治体は「信用の担保」がないと動けない

自治体や公的団体が新しい仕組みに踏み出せない最大の理由は、
「損失が出たら誰が責任を取るのか」という構造的なリスク忌避です。

  • 債務不履行(デフォルト)の可能性があれば採用しない
  • 保証や保険のような“担保”がない限り仕組みに加われない
  • 住民監査、議会、行政手続きのなかで説明責任が問われる

これらの事情が、自治体の行動原理を「既存の金融スキームの追従」へと押し込めています。
すなわち、“リスクを取らない銀行”の後追いしかできないのです。


2. オシラセの設計は「リスクを許容する支援構造」

オシラセは、金融ではない支援システムです。
その最大の特徴は、以下のような“損失前提”の運用設計にあります:

  • デフォルト率10%を許容する全体設計
  • 債権回収業務を前提としない=人的・コスト的負担ゼロ
  • 利用者の支払い状況を再評価し、「信用を育てる」視点

つまり、「リスクを取らない」ことではなく、
「小さな損失は社会的支援のコスト」として受け入れる設計なのです。


3. 自治体の“リスク忌避”は、むしろ負担を増やす

自治体が従来型の金融モデル(担保、保証、回収など)に従い続けると:

  • システム導入コストが高騰する
  • 利用できる対象が限定されてしまう(信用が低い層が排除される)
  • 最終的に“生活困窮層を支えられない”制度疲労を招く

これでは、支援制度が存在していても「実際には届かない」ままになります。

むしろ、“損失を恐れない支援構造”を先に設計する方が、運用コストも抑えられ、救済の対象も広がるという、逆説的な現象が起こるのです。


4. オシラセの提案:自治体に「小さな失敗」を許す選択肢を

オシラセの導入は、自治体にとって財政負担や回収業務の負担を生まない仕組みであり、
その分、以下のような柔軟性を持たせることができます:

  • 「一部利用者の返済失敗=制度の失敗ではない」と位置づけられる
  • 支援記録や信用回復のデータを、他制度連携に活用できる
  • 社会的包摂を前提とした“共済型運用”に移行できる

これは、自治体の「責任ある導入」の新しいモデルと言えるでしょう。


5. 結論:銀行ではないからこそ、自治体は導入できる

自治体はこれまで:

  • 担保がなければ動けない
  • 損失が出る仕組みは避ける
  • 民間の“安全な”モデルを追いかける

という姿勢を取ってきました。

しかし、オシラセは:

  • 金融商品ではない
  • 損失を見込んだうえで全体設計されている
  • デフォルト率を社会的コストとして割り切っている

という、支援のための公共設計です。
自治体がリスクを「避ける」のではなく、
“リスクを許容できる構造”を選ぶことが、次世代の福祉政策の入口になるのではないでしょうか。

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